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グローバルキッチン Vol.09

LIFE*よみもの

グローバルキッチン 〜世界とつながる私のキッチン〜

Vol.9 おいしいお豆腐には、ワケがある。

グローバルキッチン 〜世界とつながる私のキッチン〜

湯豆腐がおいしい季節になりましたね。でも私はやっぱり、お豆腐といえば冷奴!です。


最終回は、お豆腐のお話です。お豆腐のおいしさの条件はズバリ、「水、豆、にがり(凝固剤)」です。この中でもやっぱり、お豆腐の味の決め手といえば、豆。大豆の味です。でも、国内産の大豆は、食用油と食品を併せても全体の流通量のたったの5%。残りはアメリカ、ブラジル、カナダ、中国などからの輸入に頼っている状態なんです。ここで、「あっ!」と気付いた人は、素晴らしい記憶力ですね! そうなんです。第1回目の「グローバル・キッチン」でお届けした「パン」のお話の中で、現在、アメリカ、ブラジルなどで作られている大豆は食用からもっと高く売れるバイオ燃料用に用途が変わってきているとお伝えしました。おかげで輸入大豆の値段は上がり、希少な国産大豆の値段はさらに高くなっています。お豆腐屋さんなど大豆を原料として物づくりをしている人たちもまた、パン屋さん同様に大変なのです。

現在、大豆は日本全国でお豆腐用だけでも21種類ほどが栽培されています。さらに、国内各地にはその土地で古くから作られてきた「在来種」と呼ばれる土地の大豆=地大豆(じだいず)があります。不思議なことにこうした地大豆をよその土地で栽培すると、思ったほどたくさんできなかったりおいしい大豆ができなかったりします。やっぱり地大豆というくらいですから、土地と深く結びついているんですね。


三重県松坂市のあるお豆腐屋さんは、大豆にこだわっています。

オリジナルなおいしいお豆腐を作ろうと考え、農業試験場に眠っていたその地域に江戸時代から伝えられてきた地大豆を自ら畑で栽培して実験し、地元の農家さんに栽培を依頼して復活させ、新しいお豆腐作りに成功しました。このお豆腐、まるでサトイモみたいな甘い濃厚な味なのです。どうしてこんなにおいしいお豆腐になるのか聞いてみると「炭水化物の量を多く含む大豆だからです」とお豆腐屋さん。豆腐といえば、タンパク質がとれだけ含まれているかが話題になることが多いのですが、実は炭水化物の量が多いほうが人はおいしさを感じるのだとか。でも、そうした大豆は、ほかのお豆腐用として広く栽培されている大豆に比べるとタンパク質の量が少ないために固まりにくいのです。つまり、お豆腐が作りにくい大豆を敢えて使り、お豆腐にする努力をしているんですね。


グローバルキッチン 〜世界とつながる私のキッチン〜

ところで、お豆腐が一番おいしいのはなんといっても出来たて。最近ではお豆腐作りの体験をさせてくれる工房も出てきましたし、手作りキットも売られています。機会があったらぜひ、出来たてを味わってみてください。お豆腐製造の副産物である豆乳も、絞りたての熱々は濃縮されたお豆腐の味そのものです。近年流行りの豆乳鍋もちょっと贅沢して濃い目の豆乳を使ってみてはどうでしょう。鍋に豆乳を入れ、弱火で温めていくと表面が固まってきます。それをすくって引き上げ、わさび醤油でつるつるっ! 自宅でも手軽においしい湯葉がいただけますよ。

さて、9回連載してきました「グローバル・キッチン」も今回で終わりです。ご愛読ありがとうございました。
これからも「食べ物」という窓を通して、ときどき世の中を眺めてみてくださいね。きっといろんな発見があるはずですから。


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LIFE*よみもの

永田麻美

永田麻美

(ながた まみ)

地域開発プランナー・コーディネーター

【プロフィール】
熊本県生まれ。(株)INAXから(学)産能大学(現・産業能率大学)に。同大にて企業の経営コンサルティングプロジェクト、企業人の意識調査、マーケティング調査に携わる。また、企業人のメンタルヘルス事業にて「メンタルマネジメント相談室」インテーカーを務める。 平成5年(財)21世紀村づくり塾入職(平成13年より(財)都市農山漁村交流活性化機構に名称変更)。 平成7年秋〜平成19年3月まで農業雑誌『びれっじ』編集長(『びれっじ』は平成19年4月より休刊)。全国の農山村を自ら取材、執筆、編集。 その後、食・農業・環境の雑誌『空ト風ニ』の編集長を経て現職。


【著書】
「アースウォッチ」(共著、第一書林)
「グリーン・ツーリズムとむらまち交流の新展開」
(共著、家の光協会)


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