

第9章 ラベンダー「清く穏やかな香り」
この草の香りを、今までに何度嗅いだ事でしょう。たった1本でも、すーっと心の奥に届くような青さと甘さをもった、忘れがたい香りです。
ギリシア神話では、魔女と魔術をつかさどる女神、へカーテにささげられていました。
ラベンダーはラテン語のラバーレ(Lavare)「洗う」を語源とするハーブで、浄化のハーブとも言われています。又、ラベンダーの小枝を身につけていると、凶眼や邪眼(この目つきをした人の視線に触れると、災難に襲われるといいます。)を避けるお守りになると信じられていた時代もありました。

ラベンダーは、あの紫色の麦の穂のような姿と共に、安眠のハーブとして知られています。枕元に置いてねむると、深く、やすらかに眠りにつき、翌朝おだやかな気持ちで目覚められるからです。
夏の夜に虫よけのつもりでラベンダーオイルを服につけていた時の事。友人の赤ちゃんを抱いていると、こっくりこっくりと眠りだしてしまったことがありました。
こんな風にやさしい効能をもたらすのは、標高が高く冷涼な土地を好む品種、"ラベンダー・アングスティフォリア"(学名 Lavandula angustifolia)、イングリッシュ系のラベンダーです。同じ「ラベンダー」の呼び名でも、うさぎの耳のように先端に2本のリボンがのびたような品種もあります。これはフレンチ系ラベンダー。2つは姿も香りもずい分と違いますし、使われ方も違うのに、以前お花屋さんで花の咲いていないフレンチラベンダーの鉢にイングリッシュラベンダーの写真がついていたのを見かけた事もあります。あれを育てた方は、花が咲いてさぞ驚かれたでしょうね。
けれど、ビンに入った状態のエッセンシャルオイルでは、もっと区別がつきにくいので、アロマテラピーで使用するエッセンシャルオイルは、くれぐれも気をつけて選んで下さいね。
お店の人によく話を聞いて、確かな品質の、満足と納得のいく香りを選んで下さい。

こんなにも有名なラベンダーですが、今までのハーブのように、お料理やハーブティでたのしむにはすこし苦味があるので、食べもののレシピではなく、ちょっと毎日に役立つ使い方をご紹介します。


↑ハーブの大きさを合わせて刻みます
ラベンダー、クローブ、ペパーミントを小さなガーゼの袋に入れてください。
タンスの中に置くと、やさしい香りの防虫剤になります。
それぞれの分量はお好みですが、クローブがあまり多いと、「歯医者さんの匂い」になってしまいます。



↑ビネガーの酸でラベンダー色に発色します
お酢のもつ殺菌力にラベンダーの香りをあわせたうがい用のお酢です。
ただし、直接お肌にはつけないで下さい。傷口にはとてもしみますので、注意して下さいね。
●材料
- ラベンダー(ドライ) 20g
- お酢(リンゴ酢、米酢など) 200ml
- 清潔なビンに2つを入れて、暗い所で4〜6週間つけこむ。
- (1)を漉して、ガラス容器に入れて保存する。

そのままだと、にがくて、すっぱいのでうすめて下さいね。
100mlのお水に小さじ1杯ぐらいを入れてうがいに使います。




↑やさしい香りにつつまれて、至福のバスタイム
ラベンダーは、お風呂に入れると発汗を促して体をあたため、肌に潤いをあたえ、そのうえ安眠とリラックスの力もあります。ラベンダーバスにはいろいろな方法がありますが、2つご紹介します。
- 簡単に。
ガーゼの袋にラベンダーを軽くひとにぎりを入れて、蛇口につるして、お湯が当たるように給湯します。
- すこし濃いエキスで。
ラベンダーひとにぎりを400mlのお水に入れ、小鍋で弱火で煮出して(7~8分)、漉してからお風呂に。
☆両方とも、24時間以内に使って下さいね。

リラックスしたい時は、ぬるめのお湯に15分はつかってたっぷり湯気をあびて下さい。


お料理で使う場合は、ラムやビーフなど、野性味のあるものと組み合わせます。
ハーブティは苦くなりやすいのですが、ほんの少量つかうと、リフレッシュのお茶に。
レモンとハチミツを加えると、おいしくなりますよ!

これまで、いくつかのハーブをご紹介してまいりました。
お友達になれそうですか?
植物達は、自らうごく事ができませんが、それぞれ根をはった場所で個性的にのびやかにたくましく生きています。見習いたい所がたくさんあるんですよ。
ハーブたちは、きっと香りでおしゃべりしていると思います。
このコラムの中で、気になるハーブが見つかったら、ぜひ身近で育ててみて下さい。
皆さんにハーブのつぶやきが聞こえてきますように。
ページの先頭にもどる