ここ2年間は皆既月食が立て続けに起きます。2014年4月15日、今回、2015年4月4日、9月28日。いずれも太陽と月が牡羊座と天秤座にあるときです。しかも今回と次回は太陽と月の位置がほぼ180度入れ替わるだけで、木星、天王星、冥王星などの星たちも、だいたい同じくらいの位置にあります。星たちは私たちに、これまでにない強烈なメッセージを送ろうとしているのでしょう。
さて、この難しいホロスコープをどのように読むか、とても迷いました。そもそも月食は占星術的には凶。けれど、ホロスコープ上には、同時に吉の大三角形もあり、しかもその三角は頂点に月食の満月をいただいています。月は神々の王ゼウスの星・木星に保護され、吉と凶が同居してる状態。世界中の占星術師がこの月食に解釈をつけていますが、なんとまあ見事に、バラバラの意見です。もしかして、悲観的な性格の占星術師は凶と、楽観的な占星術師は吉と、読み取っているんじゃないのかしらと思うほどでした。それほど、たくさんの要素が入っているのです。
その中で、ポイントとなっているのはなにか。私は、赤い月と重なる天王星ではないかと思います。天王星が示すのは、革命と自由、基準の崩壊、ハプニング、支配からの独立、新しいテクノロジー。それが開拓者の星座、牡羊座の月食と合わさり、これまでの私たちが持っていた知識の外側にあるものを生み出せと、難題をつきつける。でも、知らないものを生み出すってどういうこと……?
NHKのバラエティ番組『妄想ニホン料理』をご存知でしょうか。外国の料理人たちに日本の料理の名前とイメージを伝えて、想像だけで料理を作ってもらう番組です。親子丼とか、がんもどきとか、いなりずしとかが、とんでもないヌーベル・キュイジーヌとなって、お皿の上に載ってきます。けれど、それはそれで新しく、とてもおいしそうで、料理人たちの発想と技術に毎回感心させられます。
月食時の星たちは、私たちに、ここに出てくる料理人たちのようになれと言っているのではないでしょうか。
既存の枠を壊さなくてはならない。でも、今の私たちは既存の枠内のものしか知らない。それでも、古いやり方は寿命を迎え、新しいやりかたに変えなくてはならないところまできている。
どうやら星たちは、私たちひとりひとりにお題を出しているようです。どんなお題をもらうかは、これからそれぞれが直感的に理解していくと思います。後から「あー、これが私に与えられたお題だ!」とわかるパターンも多いはず。
できれば簡単なお題だといいんですが……、いえ、どんなお題だとしても、どうせ挑戦しなくてはならないなら、おもしろがって、わくわくしながら受け取ろうではありませんか。
それではまた、新月の日にお会いしましょう。この新月も部分日食で……星占い師泣かせのホロスコープはまだ続きます。
七宮 昴 (スピカ☆スタジオ)