東洋の暦の初日に輝くこの満月は、木星のすぐそばで起こります。古代中国では木星は歳星(さいせい)と呼ばれ、1年をつかさどるおめでたい星であると言われました。まさに、この満月は、ひつじ年をお祝いするおめでたい満月ですね。
今、月&木星のコンビの他にも、同じようなコンビができています。金星&海王星です。この2組のコンビは共通したイメージを持っており、どちらも、思いやりや優しさ、慈悲、慈愛、心と心のつながりなどを表します。
大小さまざまな規模の、殺伐とした事件が多発している昨今なのに、優しさを表す星たちが輝いているところに、深い意味を感じますね。満月と木星、金星、海王星が、何かを問いかけているように思えます。
争いが起きるのは、自分と敵という対立構造があるからです。国と国との争いでも、小学生同士のケンカでも、この構造は同じ。敵とか味方とかいう概念がなかったら、争いは起きようがありません。木星と海王星は、境界線をあいまいにする星たちであり、何かが対立する構造を、溶かしてしまう作用があります。
一方、月と金星は、人の気持ちに共感する星たちです。自分と他者とを分けず、融合しようとします。相手の悲しみは自分の悲しみであり、誰かが幸せになれば、わがことのようにうれしくなります。
幸せになりたいとか、誰かを愛したいとか、そういう気持ちは、どんな人も持っています。育った環境や個性の差によって、具体的に何を幸せと感じるかは少しずつ違いますが、憎み合うのは不快で、愛し合うのが心地よいのは、人間である限り、共通。
私たちが無意識的に持っている、人を愛する心や、誰かを助けたいという心に立ち戻れば、目の前にある争いから一歩離れることができます。対立の構造から離れ、あの人も喜びを感じていたいと願っているはずだと思えば、別のアイディアが出てくるでしょう。
相手を倒すにはどうするかではなく、相手とともに幸せになるにはどうするかと考えれば、妙案が浮かぶはずです。
このような心の動きは、くしくも、冒頭にあげたひつじ年の象徴にもつながります。『ひつじ』は、群れをなして行動することから、みんなの心が無意識的につながっていることを示します。地球上の人間は、本当はひとつの群れに暮らすひつじ。東洋の占いでも、西洋の占いでも、今、星たちは同じことを言っているようです。
それではまた、新月の日に。満月と、輝く星たちを見上げながら、みんなそろって幸せになることを祈りましょう。
七宮 昴 (スピカ☆スタジオ)